牧野。苗字なら「まきの」と読むのが多いが、この地名は「まぎの」という。「まきの」だと牧場のイメージがあり、のどかな感じだが、私は「まぎの」と聞くと、山奥、秘境といったイメージを持っていた。そのきっかけは祖母に
ある。祖母は牧野よりもさらに山奥の大河原というところの出身だった。昭和の初めごろ、中央本線はすでに開通していたが、藤野駅はできておらず、電車に乗るには上野原駅まで歩かなければならなった。その道中での山道の苦労話や
歩いた時間などを小さいころから聞き、牧野=山奥という図式が成立した。
実際に訪れてみると、国道20号から10分程度で着く里山だった。新しい家々もあり、寂れた里山の感じではなく、
日が当たりキラキラした感じがする。また、芸術家も多く、
藤野芸術の家や工房がある。牧野へ来る途中、藤野駅に
より、観光案内所を兼ねた物産展というかショップを訪れた。そこでは、地域の芸術家や創作家たちが作った作品を
販売していた。私が気になったのは、レジ前に置いてあった木の葉で、値段が200円もするものだった。一瞬、お店の人がたぬきにでも化かされたのかなと思ったが、これはプチ袋で使うものだと教えてくれた。触ってみたが、動物の
革のように固く、丈夫にできている。作るのも大変だそうで、まず葉を探すところから始まる。そして、アイロンを
かけ,葉をミシンで縫って、加工することで、立派なぽち袋ができる。このぽち袋を作った人が牧野の人であることを聞いて納得した。こうしたアイディアわいているから、牧野はキラキラしている。
また、牧野には温泉があり、どれもいい温泉で、里山の風景を見ながら、のんびりと湯に浸かれる。温泉のスタンドもあるくらいなので、質も想像以上にいい。市営の温泉には相模原の大凧が天井にかかっている。藤野町が相模原市との合併した記念のものであるそうだが、私には木の葉のぽち袋のほうがずっと大きく見えた。


黄色のところにお金をいれる